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保育の未来はどうなる?
※今回の記事は連続記事の後編になります。
全編はコチラ
今回は保育士の未来はどうなるの?の疑問について解説します!
情報を知っていると自分の動き方が変わります。時代に対応できる保育士になりましょう!
2025年問題によって以下のような問題が発生する可能性があります。
「保育の2025年問題」で起こる可能性があるもの
・働いている保育園が閉園する。
・転職が難しくなる
2025年問題を解決するために、行政は「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会(以下、検討会)」というものをおこなっています。
この検討会の内容を知ることで、保育の未来は今後どうなるのか?ヒントが掴めるはずです。
- この記事を読むとわかること
- ・「地域における保育所・保育士の在り方検討会」の内容。
・保育園がどのような機能になっていくのか。
・保育士にどのような影響があるのか。
キャリアを積んで転職するのか、施設長を目指すのか、保育士として自園を発展させるのか…色々と対策は考えられます。
未来のために、一緒に勉強しましょう。
保育の2025年問題についてもっと知りたい方はコチラ
日本における子育ての課題
詳しい対策の前に、もう1度日本における子育ての課題を確認しましょう。
- 日本の子育ての課題
- ・人口減少地域の中でどのように保育園を維持するか?
・孤育て家庭の支援
・小学校就学前教育と福祉の連携強化
それぞれの詳しい内容を確認したい方は前回の記事をご覧ください。
検討会の導き出した答え
課題に対して、検討会では以下のように取り組んでいくとまとめました。
文字が多すぎて…目が…目がぁぁぁぁぁ。
こびとちゃん、落ち着いて!ちゃんと解説します!
対応としてのポイントは以下の4つになります。
- 減少地域における保育所の在り方
- 多様なニーズを抱えた保護者・子どもへの支援
- 保育所・保育士等の地域支援
- 保育士の確保・資質向上
それぞれの項目を見ていきましょう。
各項目それぞれ「すぐやるべきこと」と「長い目で解決していくこと」と分かれて検討されています。
1.持続可能な保育提供体制を構築する。
すぐやるべきこと
少子化でも保育体制を継続するために、すぐやるべきこととはなんでしょう?
ポイントは以下の4点です。
- 持続可能な保育提供体制を計画的に構築
- 社会福祉連携推進法人の活用
- 法人の統廃合や規模縮小の情報提供
- 保育園の多機能化
これだけだと全然ピンときませんね。
色々と難しい言葉がでてきています。
この中に実は私たちの今後に大きく関わる情報もあります。
一つひとつ解説していきますので、学んでいきましょう。
持続可能な保育提供体制を計画的に構築するとは?
持続可能な保育提供体制の計画の構築の部分に関しては具体的な情報は得られませんでした。
おそらく、各自治体毎に状況に合った計画を構築していくものと思われます。
自治体ごとに保育事情が違うので、それぞれ定めていくのですね。
こびと保育園がある自治体では、保育園をたくさん作ったのはいいものの、一部では定員割れを起こしている園もあり、今後の重要課題になっています。
今後の方向性として「公立保育園が保育利用者数の調整をおこなう」と説明がありました。
公立保育園で入園する児童の上限を上げ下げすることで、定員割れをしている保育園に園児を流す、ということです。
短期的にはいいかもしれませんが…。問題の先延ばしに過ぎない気もしてしまいます。
また、高度な障害を抱えるお子さんを積極的に受け入れる、というような施策も公表しています。
各自治体に方向性を調べてみると良いと思います。
社会福祉連携推進法人の活用
社会福祉連携推進法人制度という言葉をご存知でしょうか?
実は2022年4月より開始された制度です。すでに実施されています。
- 社会福祉連携推進法人制度とは?
- 社会福祉法人等が社員となり、福祉サービス事業者間の連携・協働を図るための取組等を行う新たな法人制度です。
「厚生労働省:社会福祉連携推進法人制度について」
ざっくり言うと、複数の社会福祉法人がグループを組み、1つの法人として設立することができるようになるのです。
それって何かいいことあるんですか?
1つの法人ではできない事でもみんなでタッグを組めば、出来る範囲が広がるのです。
社会福祉連携推進法人になる事で幅広い福祉サービスが提供できるようになります。
社会福祉連携法人になるメリット
・採用活動や人材育成を合同でおこなえる。
・社会福祉法人間で資金の融通がきく(現在は株式会社のみ資金融通ができる)。
・保育園運営者の跡継ぎが見つけやすくなる。
例えば保育園と学童を持つ法人が連携したり、老人福祉や介護を得意とする法人が参入したり…色々な取り組みを行う法人が協力体制を組めば、できる事が広がります。
社会福祉連携推進法人は幅広い社会福祉サービスを行えるようになる、という名目ですが、実際は経営基盤の強化がねらいではないか、という見方もされているようです。
一つの法人に一つの施設、のような保育園は経営をしっかりとマネジメントしないと生き残れない時代がきます。
来たるべく時代が来た時に、連携推進法人制度を整備しておいて、ノウハウを学んだり助け合えるようにしておこうというねらいがあります。
社会福祉法人で働いている方は、
来年より、当法人は社会福祉連携推進法人になります!
えぇ〜!
なんて事になりかねません。
そうなると働き方や将来に大きく影響します。
基礎知識だけでも知っておく事をオススメします。
法人の統廃合や規模縮小の情報提供
こびと園長的には現場で働く保育士にとって一番影響するのが統廃合や規模の縮小だと思います。
さっきの連携とどう違うのですか?
連携と統廃合は似ているようで、全く別物です。
社会福祉連携推進法人は、あくまでそれぞれの法人は存続しており、チームを組むだけです。
それとは違い、社会福祉法人の統廃合や規模縮小は法人そのものの運営が大きく変わります。
法人運営が変わる事で起こりうるリスク
・保育体制や保育方法を変更する可能性
・給与、賞与の金額の変化
・規模縮小によるリストラ
統廃合・規模縮小は現場の保育士には大きなリスクと言わざるを得ません。
大きく混乱を避けるために情報を開示していくようですが…リスクなのは変わりません。
保育園の多機能化
人口減少により子育て支援の人材が少なくなるという事は、その部分を誰かがカバーしなければなりません。
今後の方針として保育園の更なる多機能化を推進していくようです。
具体的な例としては
- 保育園に通っていない3歳児に週1〜2回程度の保育の提供。
- 発達相談支援機能を持たせる。
- 子ども食堂の運営
このような事柄が例としてあげられています。 つまり、定員割れで子どもの数が減るので保育士の数も少人数でよくなる。その余剰人員は、地域の子育て支援にあたってねという事になる可能性があります。
保育園はそんなに多機能化していいのでしょうか…。
保育園の重要度がさらに高まっていますね…。
今後、子育て支援の需要が高まってくる事が予想されます。
子育て支援のスキルを今のうちに学んでおくと、転職などの際に有利に働くでしょう。
子育て支援におすすめのスキル「チャイルドボディセラピスト」
- チャイルドボディセラピストとは?
- 赤ちゃんの発達と親子の絆を深めるベビーマッサージを習得できる資格です。
ベビーマッサージは、赤ちゃんの体をマッサージでほぐすことだけではありません。
親子が直接触れ合って体温を伝え、見つめ合い、撫でながら優しく声をかけることで五感を刺激し、心や体、そして脳の発育を促します。
お父さん、お母さんと赤ちゃんが触れ合うことで赤ちゃんの情緒を安定させ、親子の絆をも深めます。
長い目で解決していくこと
これまでは、短期間で実施していく施策について解説してきました。
中にはすでに法整備も整っているものもあり、動きはじめています。
次は長期的な方針を見ていきましょう。
各子育て施設の役割の明確化
現在は保育園、幼稚園、子ども園、地域子育て支援拠点等…。色々な施設が運営しています。
それぞれの役割や特徴を整理して子ども達を適切な施設に入所させたり、公私連携保育所の活用を推進していくそうです。
公私連携保育所ってなんですか
- 公私連携保育所とは?
- 平成27年度にから施行された「子ども子育て新制度」によって新しく定められた制度です。
一定の協定に基づき、区から必要な設備の貸付け、譲渡その他の協力を得て、区との連携の下に教育・保育等を行う幼保連携型認定こども園又は保育所をいいます
公立園や公設民営とも違う、新しいスタイルの保育所です。
公私連携保育所では行政と保育園で協定書を結びます。
その内容に沿って、正しく運営ができていれば、賃借料の減額や備品の提供などのメリットを受け取ることができ、保育園を運営しやすくなります。
公立と違うのは、運営者が民営であること。
公設民営との違いは、行政の関与が大きい代わりに財務面で優遇されることが多いことです。
ちなみに、こども園の場合は公私連携認定こども園という名称になります。
今はまだ知名度が低いですが、今後拡充していく可能性があります。
行政の関与が大きいため、安定感や運営の健全性はある程度担保されると思います。
数は少ないですが、求人サイトなどで検索しても出てきます。
転職先の候補にしてみるのも良いかもしれません。
公定価格の見直し
公定価格とは国が定めた保育園の運営に必要な費用の事を言います。
認可保育園は公定価格に則り、行政から委託費をもらって運営しています。
現在の制度では、子どもの人数に応じた公定価格が設定されます。
しかし、現行の公定価格では、利用者が減り定員割れを起こすと、大きく委託費が減額されてしまいます。
少子化の時代に合わせた公定価格の見直しをおこなう必要があり、今後も検討されていきます。
公定価格の問題について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「多様なニーズを抱えた保護者の子ども」への支援
- 多様なニーズを抱えた保護者とは?
- 周りに相談できる人がいない、いざという時に子どもを預かってくれない、外国籍の児童、医療的ケア児など…
子育てをする上で様々な事情を抱える保護者のこと。
多様なニーズを抱えた保護者子どもへの支援はどのようになっていくのでしょうか?
すぐやるべきこと
すぐにやるべき事として一時預かりの拡充と現状調査およびインクルーシブ保育の促進が挙げられています。
一時預かりの拡充
- 一時預かりとは?
- 保育園や幼稚園、こども園などに通っていない保護者が一時的に子どもを預けられるサービスです。冠婚葬祭や地域活動の参加、リフレッシュなど就労要件を問わずに預ける事ができます。
一時預かりは保護者を一時的に子育てから解放し、精神的・肉体的に余裕を生み出すことが目的の制度です。
行政としても、保育園に通わせていない保護者の家庭状況を把握できるので、とても意味のあるサービスになっています。
現状の課題として以下の2点が挙げられています。
一時預かりの課題
・保育所に普段預けていない子どもを預けるのが困難。
・事前予約制などの手続きに制約が多く、急なニーズに対応できない場合がある。
たしかに、一日だけ預かるって保育士にとっても子どもにとっても負担ですよね…。
このような利用しにくさを改善し、より使いやすい制度になるよう目指していくようです。
具体的な案として
- 事前のならし見学やならし預かりを実施し、子どもが施設に慣れておく。
- 市区町村がICTを活用し、急な一時預かりにも対応できるシステムを構築する。
ICTとは(Information and Communication Tecnology)情報処理や通信技術を総称する用語。
これらの事を実施していくそうです。
現状調査とインクルーシブ保育の促進
発達支援や配慮が必要な児童に対して、実は状況が把握できていないのが現状です。
まずは調査をおこない、実態を把握するところから始めていくようです。
さらに、少子化により支援者が少なくなってくるため、保育所の設備や職員を有効活用する必要がでてきます。
必要な保育士や面積を確保すると同時にインクルーシブ保育の推進が進められます。
インクルーシブってなんですか?
インクルーシブとは「包み込む」という意味じゃ。
- インクルーシブ保育とは?
- 「子どもの年齢や国籍、障がいの有無に関わらず、すべての子どもが個々に必要な支援を受けながら、同じ環境で保育を受けられることが大切」という考え方です。医療的ケア児、発達課題を抱える児、外国籍児、など世の中には様々な立場の人がいます。そうした人達を隔離するのではなく、インクルーシブ(包み込む)し、一緒に保育をすることで、多様な人との出会いを経験することができます。
インクルーシブ保育をもっと促進していくために、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和 23 年厚生省令第 63 号)を見直していく方針を取るそうです。
長い目で解決していくこと
長い目で解決していくことはすぐ解決していくことと、ほぼ同じ内容でした。
それだけ上記2つは早急な対策が必要なのですね…。
保育所・保育士等による地域の子育て支援
地域の子育て支援のポイントとして「保育園の多機能化」、「情報発信」、「地域資源との連携」が挙げられています。
すぐに取り組むもの
保育園の多機能化「かかりつけ相談機関」としての機能をプラスする
少子化や核家族化が進み、保護者が子育てについて相談できる人がいない「孤育て」が課題として挙げられています。
そのような中で、保育園は様々な子どもの発達や生活に関わるので、子育ての知識や経験が豊富な場所ということになります。
現在も子育てひろば事業や一時保育事業を通じて、在園児だけではなく、地域住民の子育て支援もおこなってきました。
今後は、子育て広場や一時保育事業を「かかりつけ機関」としてより強化していく方向になっています。
具体的にはより地域住民への情報発信や相談・助言や保育内容の発信を義務化していくかもしれません。
子育てひろば専任の保育士など増えてくるかもしれませんね。
「在園児だけ見る場所じゃないよ」という思惑がひしひしと伝わります…。
情報発信「ここdeサーチ」やSNSの活用
皆さんは「ここdeサーチ」というサイトをご存じでしょうか?
「ここdeサーチ」とは独立行政法人福祉医療機構が運営する、ひとつのwebサイトで全国の教育・保育施設等の情報が閲覧可能となるサイトです。
https://www.wam.go.jp/kokodesearch/ANN010100E00.do
この情報サイトをもっと活用し、地域の住民が保育園と繋がりやすい体制を作っていくそうです。
このサイトは就職や転職にも役立ちそうですね!
今はまだ詳細な情報は整っていないですが、今後はもっと使いやすくなるかもしれません。
また、子育て支援機関となかなか繋がれない保護者のためにSNSでの発信を強化していく方針を取るそうです。
地域資源との連携
これまで多機能化や情報発信などについて触れてきました。
保育士が過労死してしまいます…。
と現場で働く保育士さんなら思うハズです。(私もそう思います)
もちろん、全ての保育園にすぐ適用されたり、義務化されるわけではありません。
しかし、保育園を地域における子育て支援の拠点として多機能化をすすめていく流れは逃れられないと思います。
少子化の影響で園児数は減りますからね。
ただ、保育園だけに子育て支援機能を全て負荷させては、保育園がパンクしてしまいます。
そこに関しては行政がNPO法人、医療機関、母子保健関係機関など様々な地域資源を活用できるようなネットワーク作りをおこなうことが大事、とされています。
みんなで助け合っていきたいですね!
長い目で解決していくこと
中長期的には「人員体制」と「保育所保育指針の改訂」の部分が話し合われました。
それぞれ解説していきます。
人員体制の確保「公定価格の見直し」「潜在保育士の確保」
保育士の給料を上げるためには「公定価格」があがる必要があります。
現在の公定価格の計算方法は今の時代に合っていないのでは?という意見もあり、見直しを必要とされています。
例えば、公定価格を決める際に「主任保育士加算」というものがあります。
- 主任保育士加算とは?
- ある一定の条件を満たすと、保育園は主任を配置することができます。主任は管理職の立場になることから、一般の保育士よりも給料が上がります。そのため、主任を配置するためのお金「主任保育士加算」が国より支給されます。
この主任保育士を配置する条件の中に「乳児が3人以上利用していること」という条件があります。
しかし、人口減少や過疎化が進むと、基準を満たせない場合があり、主任保育士加算がもらえません。
すると、委託費が大きく下がってしまいます。
このように、現行の公定価格の設定方法は少子化に対応しておらず、今後保育園の運営が難しくなるケースがでてきます。
そうならないように、公定価格の見直しをおこなっていくようです。
配置基準や保育士の処遇も併せて見なおされる事を願っています。
また少子化により、保育士や支援者の人数が減少してきまうことから、資格を持っているが就労していない潜在保育士や保育補助の拡充をし、人材不足を解消していく、とのことです。
保育所保育指針の見直し
これまで、地域支援について、今後の展望について解説してきました。
指針にも書いていないのに…本当にこんなに色々やらなきゃいけないのですか?
このように感じる方もいるでしょう。
しかし、検討会の中で、今後の保育所・保育士の在り方として地域住民えの子育て支援はかなり重要視されています。
次回の保育所保育指針改定に盛り込む可能性があるとまで示されています。
地域住民への子育て支援今よりも保育所・保育士のスタンダードな業務になるのかもしれません。
そのつもりで、今後の未来への対策をしていったほうが良いでしょう。
保育士の確保・資質向上
最後に保育士の確保や資質向上について、検討会ではどのような話になったのかをご紹介します。
もう頭がパンパンになってきました…。
という方も多いでしょうが、あと少しです。頑張りましょう!
すぐに取り組むこと
保育士確保や資質向上のためにすぐ取り組まれる事は以下の3点です。
保育士確保や資質向上のために取り組まれる3つのこと
・魅力の発信
・業務の改善
・保育士資格の厳格化
魅力の発信
令和3年度から令和6年度までの「新子育て安心プラン」では4年間で新たに2.5万人の保育士の確保が必要とされています。
しかし、保育士は給料が安い、仕事量が多い、など職場定着率が悪く引き続き、人材確保に関して課題があるとされています。
そこで、以下のことを着実におこなっていくようです。
- 新規取得者向けの支援
- 労務管理やメンタルサポートなど職場での定着支援
- 再就職者への支援
- 学生へ向けて保育士の職業としての魅力発信、創造に向けた取り組み。
魅力の発信やメンタルサポートという精神論ではなく、給与を上げたり、負担を軽くしたり、社会的地位をあげるっていう発想はありませんか?
※あくまで、いちこびととしての意見です。
決定権のある方…そちらもなにとぞお願い致します…。
業務の改善
保育士の職場定着率の向上の取り組みとして、業務負担の改善を進めていく方針です。
具体的には次のようになっています。
業務負担の改善ポイント
・ノンコンタクトタイム(子どもと離れて休憩や事務仕事をする時間)の促進。
・ICTの活用による書類業務の効率化。
・「保育士同士で振り返りがおこなえるようなスペース」の改修支援。
この辺については運営者は必須業務と言えますね。
時代の流れからしても、労務管理や保育の質向上に取り組んでいない保育園は今後、生き残るのが難しくなってくる時代が訪れます。
いきなり職を失うことがないよう、現在上記のような取り組みをおこなっていない保育園に務めている方は、早めに転職活動をすることをオススメします。
保育士の転職活動についてはコチラの記事をご覧ください。
https://hoikubu.blog/kobitoencho/44/保育士の離職率の理由No.1は「人間関係」です。
「人間関係」による離職を防ぐ方法も記事にしております。
興味のある方はご覧ください。
保育士資格の厳格化
児童と関わる職業の人がわいせつ行為を働いたり、保育中に人数確認を忘れて死亡させてしまった事案など悪質な事案が発生しています。
その対策として今後は次のように対策が取られます。
保育の厳格化対策案
・監査による指導の徹底。
・保育士証のはく奪および再登録の厳格化。
・未然に防ぐための研修の実施。
これらの事を対策としておこなっていきます。
特に保育士証のはく奪、および再登録の厳格化は大きなニュースにもなりました。
検討会では以下のような案が出されているようです。
保育士証はく奪の厳格化案
・保育士が登録を取り消された後の再登録禁止期間の延長
・登録取消事由に刑事罰の有無にかかわらず児童にわいせつ行為を行った場合を追加
・児童へのわいせつ行為により保育士の登録を取り消された者の再登録を制限するための審査制の導入
・児童へのわいせつ行為により保育士の登録を取り消された者の情報を把握する仕組みの創設などの取組の実施
教員と同等レベルの厳格化にしていくようですね。
給与も教員と同等でお願い致します!
日本は保育・教育現場での性犯罪被害において、諸外国に比べて制度設計が遅れています。
2023年に設立されるこども家庭庁では「日本版DBS」の構想もあります。
- 日本版DBSとは?
- イギリスではDBS(Disclosure and Barring Service)という、各事業の犯罪歴をチェックする機関があります。
この機関があることで保育園や教育の事業者は「保育士や教師が犯罪歴を犯していないか」調べることができます。日本にはこの制度はなく、犯罪をした人が再び保育・教育現場に素知らぬ顔で戻れてしまう現状があります。
日本でもこども家庭庁が主導となり、「日本版DBS」の制度を作ろうとしています。
こども家庭庁についてもっと詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
長い目で解決していくこと
長い目で取り組むことのポイントは「公定価格の見直しによる処遇改善」と「人口減少地域の保育士不足…どう対応する?」そして「どのように保育の質をあげる?」の3点でした。
公定価格の見直しによる処遇改善
ここまでで何度も触れてきた、公定価格の見直しによる処遇改善、ここにしっかり入っていました。
やったー!
この部分に関してはしっかりと議論を行い、処遇を改善していってほしいと願っています。
人口減少地域の保育士不足…どう対応する?
人口減少地域において、保育士が地元の専門学校を卒業しても、都市部の保育園へ就職してしまい、人口減少地域の保育士が不足してしまう、というような事態がおこっています。
もともと行政は都市部の待機児童問題を解決するために、借り上げ社宅制度を導入し、保育士人材を地方から都市部に流してきました。
- 借り上げ社宅制度とは?
- 雇っている保育士の宿舎を借り上げ(保育園が代わりに家を借りる)た場合、そこにかかる家賃の全額または一部を補助する制度。 補助金額は市区町村や事業者によって変動するが、東京都の基準では一戸あたり月額82,000円を上限としている。
家賃払って上げるから、都心においでよ!って感じですものね。
この制度は「もう終わる…もう終わる…!」と言われ続けています。
よく「借り上げ社宅制度はいつ終わりますか?」と質問をもらうことがあります。
基本的に行政側は「いつ終わらせてもおかしくない」というスタンスで、現在は保育団体が「継続してください!」と要請している状況です。
制度を利用している方が多く、突発的に終了したら、大混乱を招きます。
おそらく、すぐにはなくならないとは思いますが
- 人口減少地域の保育士不足が問題視されている。
- 待機児童問題が(ほぼ)解決してきている。
この2点から、そんなに長く続く制度ではないのかな、と思います。
すでに補助金額の見直も少しずつおこなわれていますからね。
今後、人口減少地域の保育士を確保するために、次のような案が検討されています。
人口減少地域における保育士確保案
・修学資金貸付事業の見直し。
・養成校と連携し、卒業した学校の地域で就職活動を薦める「地域枠の保育士」の仕組み検討。
・保育士がへき地等へ期間限定で赴任する仕組み作り。
色々なアイディアを出している途中なのですね…。
この辺りの着想は医療現場の取り組みを参考にしているようです。
どのように保育の質を向上させるか?
保育の質の向上の方法については「第三者評価の活用」と「研修の活用」が取り上げられました。
- 第三者評価とは?
- 社会福祉法人等の事業者の提供するサービスの質を当事者(事業者・利用者)以外の公正・中立な第三者機関が、専門的かつ客観的な立場から評価する事業のことです。
第三者から保育園を評価してもらうことで、自分たちでは気づけない長所や改善すべき短所が見つけることができます。
保育園において第三者評価は受ける事を努力義務とされています。
この第三者評価の実施率が低いことが問題視されています。
こちらは最近、東京都の第三者評価を受けた施設数の表です。
対象施設に対して第三者評価の実施率は32%に留まっています。
そんなに少ないのですね…。
新設園がどんどんできている、新型コロナウイルスの影響…色々あるのでしょうけどね。
また、この32%の中から、公表率はさらに低下するでしょう。
ちなみに保育園のランキングを掲載しているサイトがよくありますが、ランキングの作成根拠はこの第三者評価の点数順になっている所がほとんどです。
そもそも3割程度しか行われていない第三者評価。
あくまでその事を前提として情報を取り扱う方が良いかもしれません。
話がそれてしまいましたが、この第三者評価をもっと質の向上に繋げるような取り組みにできないか、検討していくそうです。
研修の活用
研修の活用に関しては、以下の取り組みが行われていくようです。
研修の活用
・オンラインでの研修に無理なく保育士が参加できる仕組みの継続
・幼稚園、認定子ども園などと相互交流を含めた研修機会の実施
・「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」での内容をもとに実施していく
「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」ってなんですか?
2018年~2020年に行われた保育の質に関する検討会です。
「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」をもっと知りたい方はこちら。
私たちが未来に向けて考えなければいけないこと
前編でも触れましたが、この会議には内閣府や厚生労働省、文科省など子どもに関わる省庁の責任者も出席しています。
つまり、今後の子ども関連の施策を進めていく人達の会議ですので、ここで話し合われた方向性は今後の施策になる可能性が高いということです。
待機児童問題が1990年代から少しずつ問題となり、「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名のブログが話題となった時から6年余りが経過しました。
この間、日本の保育事情はいわゆる『バブル期』のようなものだったと思います。
待機児童問題を解決するために、保育園をたくさん作り、保育士をたくさん増やしてきました。
しかし、ここにきて少子化による影響で今度は保育園を減らさなくてはいけない事態になると予想されます。
このような状況の中でどのようなことを考えなければいけないのか?
保育士の目線に立って考察してみました。
保育士が考えなければいけないこと3選
現場を担う保育士が今後考えなければいけないことは以下の通りです。
保育士の未来に必要なこと3選
・素敵な保育実践をしている保育園へ転職する。
・スキルアップを考える。
・資産形成を考える。
素敵な保育実践をしている保育園へ転職する
この画像は山梨県にある森のようちえんピッコロの保育風景です。
(画像:森の幼稚園ピッコロ公式ホームページより)
森の中の川を渡ってる!?
豊かな森の中で自然の息吹を感じながら子どもと過ごす保育実践です。
こちらは横浜にある川和保育園さんの画像です。
(画像:森ノオト『子どもたちの天国!川和保育園「自分で考え 自分で遊べ 子どもたち」より』)
楽しそうな遊具がいっぱいですね!
「自分で考え、自分で遊べ、子どもたち」というテーマで発達に応じた遊具に力を入れている保育園です。
どちらもとても素敵な保育実践をされています。
このように保育の実践は様々な形で行われています。
今の務めている保育実践は自分が本当に心からやりたいものでしょうか?
保育士として本当にやりたい保育ができている環境でしょうか?
こびと園長は自身の経験から、保育士の転職はキャリアアップだと考えています。
違う保育手法、保育観で働くことは視野が広がるからです。
一度しかない人生、自分が本当にやりたい保育、自分の心に耳を傾けることをオススメします。
スキルアップのおすすめ4選
今働いている保育園が好きだから、さらに活躍したい!と考える方もいるでしょう。
スキルアップすることで収入アップに繋がる資格もあります。
これからの時代に役立つオススメ研修を4つご紹介します。
キャリアアップ研修
今一番受講しておいた方が良いのは確実にキャリアアップ研修でしょう。
研修を受講し、リーダーになれば収入増に直結しますし、何より研修の質も高いです。
令和8年度までに受講が必須となっています。少しずつ受講しましょう。
オススメは一般社団法人アジルラーニングさんの研修です。
指定の期間内に動画を視聴し、対面講義もZoomで行います。
オンラインで全て完結するので、時間の融通が利きやすいのが特徴です。
保育ファシリテーション研修
ファシリテーションは色々な所で学べますが、こびと園長は保育ファシリテーション実践研究会の内容がとてもよかったので、推してます。
チャイルドボディセラピスト
- チャイルドボディセラピストとは?
- 赤ちゃんの発達と親子の絆を深めるベビーマッサージを習得できる資格です。
今後の需要として、地域の子育て支援が増えてきます。
今のうちに学ぶと転職でも有利に働きます。
書籍
本は最もコスパの良い自己投資!と言われています。
なぜなら、普通は研修や講義など何時間も話しを聞き、高い参加費を払って知識を得ます。
しかし、読書は研修や講義などよりも安く、自分のペースで著者の学んだこと・経験したことを学べます。
本はたくさんありすぎて、どれを読んでいいかわからない…。
という方に向けて、こびと園長オススメの書籍を紹介しています。
ぜひご覧ください。
資産形成を考える。
今後は今までのように安定して保育士を続けられるか、不透明な時代がやってきます。
その際に考えなければいけない事は以下の通りです。
- 正規職員ではなく時間の融通のつく非常勤保育士として働く。
- 減った収入を副業で補う。
- 投資などを活用し、資産を増やす。
という事も考えられます。
投資や副業なんて危なくないですか…?
確かに、投資や副業はリスクがあるイメージがあります。
しかし、厚生労働省も副業のガイドラインを策定しています。
最近は手作り玩具の販売、壁面装飾作成代行など副業を開始している人もいるようです。
また積立NISAやiDecoなど国策として投資をしやすい環境を整え、自分たちで資産形成をする流れになってきています。
実際に、私の知り合いの保育士で投資を始めている方もいらっしゃいます。
給料が少ないからこそ、資産形成を意識してする事が大切なのですね。
そういうことです
資産形成を考えるのであれば、こちらの書籍がオススメです。
オススメポイント
・100万部を突破したベストセラーです。
・お金に関する基礎知識がわかりやすく説明されています。
・何をどうすればお金が資産形成できるのか…全てわかりやすく書いています。
・初心者から上級者までオススメの1冊です。
資産形成さえしっかりしていれば、心穏やかに、自分のペースで生活する事も考えられます。
改めて、大切なのは「自分の軸」に従って人生を考えていくことです。
担任を持つことだけがキャリアではありません。
自分は何を大切にしたいか、考えた上で行動すると良いでしょう。
自分の人生を見直したい方はこちらの記事がオススメです。
まとめ
「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会 」取りまとめ
- 人口減少地域の中でどのように保育園を維持するか?
- 孤育て家庭の支援
- 小学校就学前教育と福祉の連携強化
- 減少地域における保育所の在り方
- 多様なニーズを抱えた保護者・子どもへの支援
- 保育所・保育士等の地域支援
- 保育士の確保・資質向上
- 持続可能な保育提供体制を計画的に構築する。
- 社会福祉連携推進法人の活用
- 法人の統廃合や規模縮小の情報提供
- 保育園の多機能化
(長い目で解決していくこと)
- 各子育て施設の役割の明確化
- 公定価格の見直し
- 一時保育の拡充
- インクルーシブ保育の推奨
- 保育園の多機能化「かかりつけ相談機関」としての機能を目指していく
- 情報発信「ここdeサーチ」やSNSで活用。
- 地域資源との連携
(長い目で解決していくこと)
- 人員確保(公定価格の見直し、潜在保育士の確保等)
- 保育所保育指針の改訂
- 魅力の発信
- 業務の改善保育士資格の厳格化
(長い目で解決していくこと)
- 公定価格の見直しによる処遇改善
- 人口減少地域の保育士の確保(修学資金貸付事業の見直し、「地域枠の保育士」の仕組み検保育士がへき地等へ期間限定で赴任する仕組み作り等)
- 質の向上(第三者評価の有効活用化、オンライン研修などの取り組み)
- 素敵な保育実践をしている保育園へ転職する。
- スキルアップを考える。
- 資産形成を考える。
以上になります。
かなりボリュームのある記事になってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
こびと園長のお悩み相談フォーム
SNSやニュースを見ていると、保育に関してネガティブな雰囲気が漂っているのを感じています。
しかし、本来は子どもの育ち、人間の神秘…保育は楽しいことがいっぱいです。
私と同じような悩みを持っている人の力になりたい、情報を発信していくことで、少しでも誰かの役に立ちたい、そのような想いでブログを始めました。
- 保育ファシリテーションスキルによるチームビルディング
- 2つの保育園を転職したことで見えてきたこと
- 現役の保育園園長としての経験
この経験を活かして、皆さんのお役に立ちたいと思っています!
困っている方、Twitterや問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください!
愚痴でも何でも聞きますよー!
話しを聞いてもらうだけでも、心が軽くなります。お気軽にどうぞ!
子どもに関わる全ての人にエールを!