
保育に関するニュースをまとめました。
保育に関するニュースは興味あるけど…時間もないし、ネットで調べるのも大変…。
そんな方のために、保育に関するニュースをまとめました。
これを見ておけば、最新の保育ニュースは一通りチェックすることができます。
ぜひ、ご覧ください!
すべての子供に幸福な生活を「こども基本法」4月施行
2023年4月1日の「こども家庭庁」発足と同時に、「こども基本法」が施行された。すべての子供が将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、6つの基本理念のもと子供の権利を尊重し、子供の意見を反映させた新たなこども施策がスタートする。
リセマム 2023年4月7日
2023年4月1日より「こども基本法」が施行されました。
こども基本法とは?
こども基本法は日本で初めてこどもの権利を包括的に明記した法律です。
全20条から構成され、全てのこどもが権利を守られながら、幸福な生活が送れるよう、基本的な考え方や国がやるべきことを明確にし、こども施策を推進していくことが明記されています。

なんとなく…あまりニュースになっていないような?
Yahooニュースで「こども基本法」と検索したところ、記事数はたったの15件でした(2023年4月29日付)。

こどもに関わる者としては、もっと大きなニュースとして報道されてもよいのでは…?と感じてしまいます。
法律は読みとき、理解をするのは、たしかに大変です。
しかし、わかりやすく解説しているページも多くあります。
まずは大人が学ぶことで、少しずつ子どもに優しい社会が作られていくことを願っています。
こども基本法をわかりやすく学べるサイト

ほいくぶ!でも解説ページを作成しています。よければご覧ください!
こども家庭庁が船出 司令塔に3部局、430人体制 縦割り打破できるか
こども家庭庁が4月1日、発足した。内閣府の外局として3部局・430人体制で、こども政策の司令塔機能を担う。初代の担当大臣には引き続き小倉將信・こども政策担当大臣が就任。大臣訓示では職員に対し、こどもの意見を聞く大切さを訴えるとともに、支援の現場と緊密に連携するよう指示した。新たな庁の船出により、複数省庁にまたがる政策の縦割りを打破し、実効性のある政策を作れるのか、注目される。
福祉新聞 2023年4月10日
こども基本法の施行と同時に、いよいよ子ども家庭庁が発足しました。
こども家庭庁とは?
これまでバラバラにおこなわれていた子どもに関する施策をまとめておこなう省庁です。
・子ども政策の大綱を作成する。
・子どもの個々の家庭状況の調査や支援内容のデータベースを集約する。
・虐待やヤングケアラー、養育が困難な家庭への支援。
これらのことをおこない、「こども真ん中社会」の実現を目指します。

いよいよ子どもへの施策が日本でも充実するのですね!

すったもんだ、紆余曲折がありながらも…子どもを大切にする社会へ一歩前進です!
しかし…発足したのはいいものの、まだまだ前途多難な子ども家庭庁。
今回の調査は、子育て支援事業を手がける企業「BABY JOB」(大阪市)が3月19日~4月3日、全国の子育て中の保護者1179人を対象にネットで行った。
まいどなニュース 2023年4月14日
「こども家庭庁が発足されることを知っていたか」との問いに対し、「知っている」と回答したのは31・1%にとどまり、「聞いたことがある」が32・7%、「知らない」は35・4%だった。
こども基本法の施行については「知っている」がわずか8・1%。「聞いたことがある」は25・8%、「知らない」が64・6%に上った。
子育て中の親、1179人にアンケートを取ったところ、約65%が「知らない」と回答したそうです。

せっかく省庁ができても…認知されなければ意味ありませんよね
こども家庭庁はこどもの権利を守るための省庁です。
この省庁が名ばかりの省庁になるのを防ぐためには、大人が取り組みを正しく知り、意見を表明することが大切です。
こどもの未来を守るために、まずは大人が学ばなければなりません。

概要をわかりやすく解説しています。一緒に学びましょう!
「こども未来戦略会議」立ち上げ表明、岸田首相自ら議長に 「異次元の少子化対策」たたき台の具体化に向け
岸田首相は政府が公表した「異次元の少子化対策」の「たたき台」の具体化に向け、子育ての当事者らを交えた「こども未来戦略会議」を立ち上げると表明しました。自らが議長を務めるとしています。
日テレNEWS 2023年3月31日
こども未来戦略会議が発足され、これからの少子化対策について議論が始まりました。
3月31日に「少子化社会対策大綱(たたき台)」が公表されました。

保育士にとっても大きな影響がありますね。
内容をざっくりまとめると、少子化への対策として3つの視点があります。
- 少子化の流れを変える3つの視点。
- (1)自立への希望と力『若者の自立が難しくなっている状況を変えていく。』
(2)不安と障壁の除去『子育ての不安や負担を軽減し、職場優先の風土を変えていく。』
(3)子育ての新たな支え合いと連帯 ―家族のきずなと地域のきずな―
『生命を次代に伝えはぐくんでいくことや家庭を築くことの大切さの理解を深めていく。』
『子育て・親育て支援社会をつくり、地域や社会全体で変えていく。』

少子化を止めるためには、この3つの対策が必要なわけですね。
そして、現在の日本の状況と照らし合わせると…4つの重要な課題があるとされています。
- 少子化の流れを変えるための4つの重要課題
- (1)若者の自立とたくましい子どもの育ち
(2)仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し
(3)生命の大切さ、家庭の役割等についての理解
(4)子育ての新たな支え合いと連帯
この重要課題を解決するために28の行動をしていく、と発表しています。

全部見るのは難しいので、保育園に関係ありそうな部分を紹介します。
特に「(14)就学前の児童の教育・保育を充実する」の部分は直接的に大きく関係します。
- (14)就学前の児童の教育・保育を充実する
- ・待機児童ゼロ作戦の実施により、待機児童の多い都市を中心に、計画的に保育所等の受入児童数の増大による待機児童の解消のための取組を進める。
・待機児童の多い地域における定員基準の弾力化、保育所分園の設置促進、園庭を付近の広場・公園で代用可とする扱い等の設置基準の弾力化等の規制緩和措置などを通じて、質の高い認可外保育施設の認可保育所への転換を促進するとともに、保育事業に多様な主体が参入しやすくなるよう条件整備に努める。
・地域の実情に応じ、PFI方式の活用、公有財産の貸付けや公設民営方式の活用により、多様な事業者の能力を活用した保育所の設置運営を促進する。
・公立保育所における延長保育の民営保育所並みの実施を目指し、一時保育、休日保育等多様なサービスのより一層の充実を図るとともに、送迎サービスの推進、病気回復期のため集団保育が困難となる間の一時預かり等の事業等の推進を図る。また、幼稚園における預かり保育等の子育て支援の推進を図る。
・複数企業間での共同設置を含め、事業所内託児施設の設置について、経済的支援や設置の手引き、先進事例の紹介などにより、推進する。
・保護者や地域の実情に応じ、幼稚園と保育所のそれぞれの特性を活かしつつ、多様な教育・保育を提供できるよう、職員資格の併有や施設設備の共用など、幼稚園と保育所の連携を進めるとともに、就学前の教育・保育と小学校との連携も進める。
・就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設について、平成16年度中に基本的考え方を取りまとめ、平成17年度に試行事業を先行実施し、平成18年度からの本格実施を目指す。
・幼稚園及び保育所の教育・保育の内容の充実を図りつつ、利用者の選択にも資するよう、情報公開を促進するとともに、保護者や地域住民の意見を踏まえ、自己点検評価や第三者評価を推進する。
全て覚えておく必要はありませんが、国の方針を知っておくことは、私たちの未来に影響します。
目を通しておくだけもいいので、確認しておくと良いでしょう。

たたき台について、もっと詳しく知りたい方は内閣府のHPをご覧ください!
園児置き去り防止、安全装置義務化始まる 迅速な普及に課題
静岡県牧之原市の通園バス女児置き去り死事件を受け、見落とし防止のための安全装置の設置が1日から幼稚園や保育所などの送迎バスに義務化された。(中略)
産経新聞 2023年4月4日
一方、安全装置がすぐ普及するかどうかは不透明な状況だ。令和3年7月、保育園児が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡する事件が起きた福岡県によると、送迎バスを運行している県内の私立幼稚園など355園のうち、装置の設置が終了し、補助金を交付したのは6園にとどまり、全体の2%にも満たない。
政府が今年1月に公表した、送迎バスを所有する全国の保育所などを対象にした実地調査では、乗降時の子供の安全管理などに課題があった施設が19・5%に上った。痛ましい事故を二度と繰り返さないために、ハードとソフトの両面での対策が急務となっている。
送迎バスの安全対策が思うように進んでいないようです。

事故のあった福岡市ですら補助金交付が2%…大丈夫なのでしょうか?

保育園でも安全に関する計画をちゃんと立てることが義務化されています。
名ばかりの計画を立て、実態が伴っていないのでは、意味がありません。
監査や第三者評価等でチェックされ、二度と痛ましい事故が起こらないことを願うばかりです。
小規模保育、3歳以上でも利用しやすく こども家庭庁が近く通知
原則2歳児までを預かる小規模保育所について、こども家庭庁は、3歳以上の子どもも受け入れやすくする。近く通知を出してルールを見直す。3歳になると転園を余儀なくされる「3歳の壁」の問題が指摘される中、継続利用を可能にして利便性を高めるねらい。
朝日新聞 2023年4月20日
原則的に0歳~2歳を預かる小規模保育所。
3歳になったタイミングで転園を余儀なくされますが、転園先が見つからなかったり、子どもや親への負担が問題になっているそうです。

3歳の壁に…小1の壁に…小4の壁…日本って壁多すぎません?
もともと小規模保育所は2015年に施行された「子ども・子育て支援法」の取り組みの一環として始まった事業です。
厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ(2016年4月1日)」によると、2016年4 月1日時点の保育所等待機児童数は、満3歳未満の子どもが 86.8%と大半を占めていました。

この待機児童問題を解消するために、小規模保育所は始まりました。
そもそもの目的が待機児童問題の解消だったので、それが5歳まで受け入れ可能とすると、目的が少しズレてきます。

乳児向きの施設に無理やり幼児が過ごす、なんてことにならないと良いのですが…。
もちろん、小規模保育所には小規模保育所のメリットがあります。
小規模保育所の立ち位置を改めて見直されることが、必要になってくると思います。
保育士「週4勤務」でも常勤に 国が通知、担い手不足解消ねらう
保育士不足の解消につなげるため、こども家庭庁は21日、保育士が週4日勤務でも「常勤」と認める通知を出した。これまでは自治体ごとに対応が異なり、認められないケースがあった。資格を持ちながらも働いていない「潜在保育士」の参入を促したい考えだ。
朝日新聞 2023年4月21日

これってどういう事ですか?

短時間保育士でも「常勤」とみなされやすくなりました。
国は基本的には担任などの保育士は「常勤」保育士であることを原則としています。
しかし、この「常勤」というのは「1日〇〇時間以上、月〇〇以上」のような具体的な定義は示されていませんでした。
一方、短時間保育士の定義は「1日6時間未満または月20日未満勤務であること」とされているのです。
すると、「常勤」の定義を各自治体で決定するため、多くの自治体で「1日6時間以上、月20日以上勤務する者」と定義したりしています。

そんな風に決められてしまうのですね…。
仮に「1日6時間以上、月20日以上勤務する者が常勤である」と定義されているとします。
次のようなケースがでてきてしまうのです。
- AさんとBさんの働き方
- Aさん:「1日6時間 週5日(月20日)」勤務=月120時間⇒常勤
Bさん:「1日8時間 週4日(月16日)」勤務=月128時間⇒短時間保育士

Bさんの方が長く働いているのに…短時間保育士になっちゃうわけですね。
もちろん、常勤と短時間保育士では委託費や処遇が変わってきてしまいます。
この問題を是正するために、厚労省は「短時間保育士及び常勤保育士の取扱いについて」という通達の中で、「常勤」の取り扱いを検討していく方針を出しました。
勤務形態の多様化に対応し、保育士確保を円滑に行う観点から、こどもを長時間にわたり保育できることが原則であるとの考え方は維持しつつ、週4日勤務にも対応できるよう、「短時間保育士」及び「常勤保育士」の定義の見直しや明確化について、必要な対応を検討。
厚生労働省「短時間保育士及び常勤保育士の取扱いについて」

今までより、働きやすくなるかもしれませんね!
「短時間保育士及び常勤保育士の取扱いについて」についてもっと詳しく知りたいかたはコチラ。
元保育士1人を略式起訴 裾野園児暴行―沼津区検
静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で園児を虐待したとして元保育士3人が逮捕され、その後釈放された事件で、沼津区検は25日、暴行罪で元保育士を略式起訴した。静岡地検沼津支部によると、起訴内容は逮捕容疑と別という。同支部は、逮捕容疑について3人とも同日付で不起訴処分とした。理由は明らかにしていない。
時事通信 2023年4月25日
静岡県沼津市の不適切な保育について、改めて続報が出されました。
一度は釈放が決まったものの、最終的には1名が略式起訴という形になりました。

なぜこの方だけなのか、どういう判断なのか…気になりますね。
今後、情報が少しずつ出るかもしれません。
“幼稚園児衝突で後遺症” 岐阜地裁が学校法人に賠償命じる|NHK 岐阜県のニュース
岐阜市内の幼稚園で同じクラスの園児と衝突し目に後遺症が残ったとして児童と両親が運営する学校法人に損害賠償を求めた裁判で、岐阜地方裁判所は「園児の安全に配慮する義務を怠っていた」などとして、学校法人に対し2000万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。
訴えによりますと、岐阜市芥見の東海第一幼稚園に通っていた男子児童は、年中クラスに所属していた平成29年、遊戯室の道具箱に遊び道具を片づけている最中、走ってきた別の園児と衝突して顔を強く打ち、ものが2つに見えるなどの後遺症が目に残りました。
NHK 2023年04月26日

金額で判断するわけではありませんが…事故で2000万円の損害賠償は衝撃ですね…。
記事の中で児童と両親は次のような主張をしています。
教諭が園児たちに走らないよう注意しなかった上、片づけを競わせるような指導をして、園児に危険が及ばないよう監督すべき義務を怠った。
NHK 2023年04月26日記事内より
この判決にTwitterをはじめSNSでは色々な議論がなされています。
- こどもの動きは予測不可能なんだから…園の過失はおかしいのでは?
- 子ども30人1人で見る配置基準では安全は守れない…。
- 予見できる事故の対策をしていなかったのだから、園側にも過失はある。
記事の中で判決の理由として次のように裁判長は発言しています。
遊戯室と道具箱までの区域を監視、監督できる教諭などを配置すべき義務を怠っていた上、園児が衝突しないよう安全な場所に道具箱を設置する義務も怠っていた。
NHK 2023年04月26日記事内より
もう少し事故の詳細な検証が欲しいところです。
このようなトラブルが起きないためにも、しっかり安全対策はしていきたいですね。
まとめ
2023年4月は以下のニュースを取り上げました。
社会の情勢を知ることは、保育士としてのスキルアップに繋がります。

今年度もしっかり学んでいきましょう!