【2023年7月】保育ニュースまとめ【解説】

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【2023年7月】保育ニュースまとめ【解説】

保育に関するニュースは興味あるけど…時間もないし、ネットで調べるのも大変…。
そんな方のために、保育に関するニュースをまとめました。
これを見ておけば、最新の保育ニュースはおおよそチェックすることができます。
ぜひ、ご覧ください!

京都市 保育園児ら集団食中毒 給食施設を3日間使用停止

先月(6月)から今月(7月)にかけて、京都市北区の保育園で、給食を食べた園児や職員13人から食中毒を引き起こす「カンピロバクター」という細菌が検出されたため、保健所は集団食中毒と断定し、10日までの3日間、この園の給食施設の使用を停止するよう命じました。

2023年7月10日 NHK

先月に引き続き、保育所で食中毒が発生してしまいました。「カンピロバクター」という細菌が原因のようです。

こびとちゃん
こびとちゃん

カンピロバクターってなんですか?

カンピロバクターとは?

カンピロバクターは、家畜の流産、胃腸炎、肝炎等の原因菌として獣医学分野で注目されていた菌で、ニワトリ、ウシ等の家きんや家畜をはじめ、ペット、野鳥、野生動物など多くの動物が保菌しています。
1970年代に下痢患者から本菌が検出され、ヒトに対する下痢原性が証明されましたが、特に1978年に米国において飲料水を介して約2,000人が感染した事例が発生し、世界的に注目されるようになりました。
(厚生労働省:カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)より)

カンピロバクターによる食中毒を起こすと、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などがでるようです。

こびと園長
こびと園長

潜伏時間が一般に1~7日間とやや長いことが特徴のようです。

主に、鶏肉料理の加熱不足や適切な温度管理が不十分だと、カンピロバクターは増殖してしまうようです。
夏場は特に注意が必要ですね。

カンピロバクターの取り扱いは厚生労働省のHPで公開されています。
興味がある方は見てみると良いでしょう。

介護の人材紹介、半年以内に離職なら手数料を返戻 厚労省 認定制度の基準に 来年度から

厚生労働省は10日、介護保険制度の課題などを話し合う審議会(社会保障審議会・介護保険部会)の会合で、人材紹介会社に適正な運営を促すための当面の対策を明らかにした。優良な人材紹介会社として認定する既存の制度(適正事業者認定制度)について、認定基準を厳格化すると説明。介護施設・事業所に紹介した人材が6ヵ月以内に離職したら手数料を返戻すること、を新たに加える方針を明示した。これからディテールを詰めて今年度中に見直しの全容を固め、来年度からの適用を目指す。

2023年7月10日 Joint 介護ニュース

こちらは介護のニュースですが、保育も関連するニュースです。

こびとちゃん
こびとちゃん

要するに…どういうことですか?

こびと園長
こびと園長

悪質な紹介業者はもっと取り締まりますよー!ってことですね。

介護や保育の分野などは、特に人材不足が常態化しています。
そのため、人材紹介業者を通しての採用も多くおこなわれています。
しかし、中には人手不足を足元に見るような、悪質な人材紹介業者も存在します。

こびと園長
こびと園長

転職お祝い金をエサに転職を促したり、紹介者が早期離職をしても違約金を返さなかったりですね。

厚生労働省は「適正事業者認定制度」という、ある一定の基準以上の業者の認定制度を実施しています。
しかし、現実的には名ばかりの制度となっているのを、もっと規制しよう!という方針のようです。

こびとちゃん
こびとちゃん

新卒の人も紹介業者を使ったりしますからね…。

こびと園長
こびと園長

人材紹介業者自体は否定しませんが…悪質なものは取り締まってもらいたいものです。

コロナ禍で5歳児に4カ月の発達の遅れ、施設閉園などが影響か 研究チーム発表

3~5歳の間に新型コロナウイルス禍を経験した保育施設に通う5歳児は、未経験の同年齢と比べて平均約4カ月の発達の遅れがあったと京都大や筑波大などの研究チームが発表した。社会性を身につける時期に保護者以外の大人や子供と交流する機会が減ったことが要因と考えられる。一方、1~3歳でコロナ禍を経験した3歳児にはそうした傾向はみられなかった。

2023年7月11日 産経新聞

新型コロナウィルスによる社会の変化が児童の発達に影響を及ぼした、とされる興味深い研究が発表されました。

こびとちゃん
こびとちゃん

マスクをしないと表情が読み取れない…なんて悩みありましたよね。

今回の調査概要と結果は以下のようになっています。

調査概要

・2019年に、首都圏の認可保育園43施設に通う1歳と3歳(各年4月1日時点)の計887人を対象に調査を実施。

・検査は保育士が運動や言語理解など8つの分野を100項目以上で評価する「KIDS乳幼児発達スケール」を用いた。

・5歳児ではコロナ禍経験群は未経験群と比較し平均4・39カ月の発達遅れがあった。特に、大人に対する社会性やしつけの分野で遅れが目立った。(保育園の閉園やマスクの影響?)

・3歳児では発達の遅れは明確にみられず逆に経験した群のほうが大人に対する社会性や概念の理解について発達が進んでいる傾向が確認された。(家庭で過ごす時間が多かったから?)

・発達の遅れは支援で十分挽回が可能。

この結果は乳幼児期にどのようなコミュニケーションが発達を促すのか、逆に阻害してしまうのか…などの手掛かりとなる研究のように思います。

この結果をもっと深堀して、様々な支援や取り組みに繋げられるとよいですね。

群馬 高崎 こども園のバスに2歳園児10分間置き去り

今月上旬、午前の気温が32度を超えていた高崎市で、認定こども園のバスの車内に2歳の園児がおよそ10分間、置き去りにされていたことが高崎市への取材でわかりました。高崎市によりますと、置き去りにされていたのは高崎市の認定こども園に通う2歳の女の子です。(中略)
園児の体調にはその後も異常はなかったということです。

2023年7月19日 NHK

バス置き去りの事件がまたもや起きてしまいました。

こびとちゃん
こびとちゃん

今回は体調に問題なくて…本当によかったですね。

記事によると、歯科検診のためにバスで移動していたところ、出発直前で人数が増えたことが共有されていなかったそうです。
歯科検診の名簿に児童の名前がなかったため、慌ててバスに戻って発見されたそうです。

こびと園長
こびと園長

今回もヒューマンエラーによるものですね…。

通園バスの安全装置は4月より義務化していますが、普及率は55%とあまり進んでいません。


今回のような事故を防ぐためにも、普及が進むことを願います。

「子ども主体の保育」は、ほぼ全園が重要と認識も実現は2割にとどまる

2017年3月に「保育所保育指針」など子ども関連の3法令が改正され、「子ども主体」の保育の重要性がうたわれて5年が経過した。これに伴い行われたベネッセコーポレーションと玉川大学の大豆生田啓友教授・岩田恵子教授との調査(2023年1~2月、全国の1062の保育園・幼稚園・こども園から有効回答)によると、「子ども主体の保育」について「重要である」と考える園は99.7%とほぼ全園に上ることがわかった。一方、実現できているのは2割にとどまることが判明。

2023年07月19日 東洋経済オンライン

この記事はぜひ、元の記事やプレスリリースも見てもらいたい内容です。

ベネッセが玉川大学の教授2名とタッグを組んで「子ども主体の保育」について調査を実施しました。

こびとちゃん
こびとちゃん

多くの園で主体性は大切にしたいと思いつつも、実践に難しさを感じているのですね。

調査結果の中でそもそも「主体性と自主性の違いが混同しやすい」などのコメントがありました。

主体性と自主性の違い

自主性…こども達が自ら参加するかどうかの視点。能動性とも言える。

主体性…こども達自身が「そうしたい」と思ったようにしていられるかの視点。

こびと園長
こびと園長

ここだけでもゴチャゴチャになっている保育者は多そうですね…。

この調査では、こどもの主体性を保障するためには3つの要素が重要であることが明らかになりました。

こどもの主体性を保障する3つの要素

・園の教育方針

・計画の柔軟性

・記録

・保育者の様子

これらがポイントと位置付けました。

全ての内容を解説はできませんので、詳細な内容が知りたい方はぜひ、記事をご覧ください。

プールで6歳児が死亡 運営施設は”泳げるか把握せず” 「甘えが事件を招いてしまった」 滋賀・長浜市

26日午後1時15分ごろ、滋賀県長浜市野瀬町の複合施設「あざいカルチャー&スポーツビレッジ」の屋外プールで「おぼれている男の子がいる」と、利用していた民間の放課後児童クラブ(学童保育)の引率責任者から119番通報があった。県警によると同市神照町の小学1年、田中大翔(ひろと)さん(6)が救助され病院に運ばれたが、死亡が確認された。
児童クラブや長浜署などによると、子ども45人を職員4人で引率し、26日午後1時ごろから施設の25メートルプールに入った。職員のうち2人がプールサイドで監視し、残り2人は水中で子どもと遊んでいたという。

2023年7月26日朝日新聞DIGITAL

滋賀県の学童保育でプールの死亡事故が起きてしまいました。

こびとちゃん
こびとちゃん

今年もでてしまいましたね…。

今回の事故では、子どもが45人に対して、職員は4名、そのうち2名が監視員として配置されていたようです。
記事の中で、「児童が泳げるかどうかは確認していなかった」と記載されています。
仮に、この児童だけではなく、ほとんどの児童の習熟度を確認していないのであれば…人数に対して監視員や職員の人数は適切ではなかったのかもしれません。

こども家庭庁はこの事故を受けて、全国の学童保育に向けて調査とマニュアルの徹底を呼び掛けています。

このような事故が二度と起きないことを願います。
ご冥福をお祈り申し上げます。

浦安の保育所運営会社が補助金不適切受給 市が返還求める

千葉県浦安市で3つの認可保育所を運営する会社が、実態と異なる職員の勤務記録に基づいて市などの補助金を3年間でおよそ1500万円、余分に受給していたことがわかり、市では返還を求めています。
具体的には、産休中や育休中の職員が現場で勤務していることになっていたり統括的な立場であることから補助が加算されている主任保育士が常態的に保育のシフトに入っていたり、出勤や退勤の記録が事実とは異なっていたりしたことが確認されたということです。

2023年07月25日 NHK

千葉県浦安市で認可保育園3園を運営する株式会社の不適切な補助金受給が報道されました。
今回は実際は出勤の記録がない職員、主任保育士が常態的にシフトに入っているなどの部分で不適切に補助金を受給していたようです。

こびとちゃん
こびとちゃん

主任は保育のシフトって入っちゃいけないんですか?

こびと園長
こびと園長

ちょっとグレーな部分だと思います。

保育園を運営するお金(公定価格)の中には、主任を配置するともらえる補助金があります。
「主任保育士専任加算」と呼ばれるものです。

主任保育士専任加算とは?
主任保育士が保護者からの育児相談や地域の子育て支援活動等に専任させることができるよう、基本分単価に含まれる配置基準や3歳児配置改善加算等の職員配置による必要保育士数に加えて代替要員を1人加配する場合で、以下の事業等を複数実施する場合に加算が適用されます。
・延長保育事業、一時預かり事業、病児・病後児保育事業、乳児が3人以上入所している施設、障害児が入所している 施設(対象事業の詳細は今後検討)
(引用:内閣府『公定価格に関するFAQ(よくある質問)』

つまり、「保護者からの育児相談」や「地域の子育て支援活動等に専任させることができる」ように、主任を配置し、補助金が出るわけです。

こびとちゃん
こびとちゃん

この補助金の目的はそこなのですね…!

また、内閣府の『公定価格に関するFAQ(よくある質問)』の中には、このように記載されています。

主幹教諭や主任保育士等が学級担任やクラス担当等を兼務することはできるのか。また、代替教員や代替保育士は、他の業務と兼務することはできるのか。
主幹教諭や主任保育士等が学級担任やクラス担当から離れて、指導計画の立案や地域の子育て支援活動等に専任できるようにするものですので、主幹教諭や主任保育士等が学級担任やクラス担当等を兼務することは適当ではありません。なお、主幹教諭や主任保育士等が教育・保育に従事することを一切排除するものではなく、その役割を適切に果たす観点から、例えば、園運営の企画・調整、他の教諭や保育士等に対する指導・助言、学級担任やクラス担当等の職員が休んだ場合に代理で教育・保育を行うことを妨げるものではありません。また、代替教員や代替保育士等についても、療育支援加算における主幹教諭や主任保育士等を補助する者をはじめ、同一の者が他の加算の対象職員となることはできません。なお、本来の業務に支障のない範囲で他の業務を行うことは差し支えありません。
(引用:内閣府『公定価格に関するFAQ(よくある質問)』

主任保育士の業務は各園によって分担されていますが、多くは園運営における主要な業務(シフト作成や指導、指導計画のチェックなど)です。その業務を専任しておこなうために、主任を配置する必要があるのです。したがって、クラス担当等を兼務することはできません。

今回の記事では「主任がシフトが常態的に入っていた」との指摘があります。
この主任がシフトに入るのが「クラス担当等の兼務」に該当するのかどうか、そこの部分は少しグレーな気がします。

こびと園長
こびと園長

専任するのに越したことはないのでしょうが…。

こびとちゃん
こびとちゃん

人出不足で入っている主任の方も多そうですよね…。

もしかしたら、今後この部分は線引きがはっきりするような議論になるかもしれません。

3~5歳児対象の「小規模認可保育所」、政府が設置検討…多様なニーズに対応

政府は、原則0~2歳児を対象としている「小規模認可保育所」について、3~5歳児を対象とする施設の設置を認める方向で検討に入った。保護者の多様な保育ニーズに応えつつ、待機児童の解消を図る狙いがある。来年の通常国会にも児童福祉法改正案を提出したい考えだ。

2023年7月31日 読売新聞オンライン

小規模保育所について、3~5歳児専用の小規模保育園も作れる動きがでてきています。

こびとちゃん
こびとちゃん

3~5歳児の小規模保育園もニーズがあるのですね。

こびと園長
こびと園長

0~2歳児のあとの受け入れ先が同じ運営者だったら…保護者は安心する、のようなケースもありそうですね。

個人的には、保護者が多様な選択肢から、こどもの最善の利益を考慮して、保育園を選べる環境には賛同します。

しかし、幼児保育は乳児保育と違い、配置基準が違っているため、実際に運営するのは本当に少人数での運営になるのではないかと思います。
安全管理や働き方の面で、それなりのリスクがあるのではないか…と感じてしまいます。

こびと園長
こびと園長

少人数ならではの保育の広がりはありそうですけれどね。

この取り組みが、どのような影響を及ぼすのか…先が楽しみですね。

まとめ

2023年7月の保育ニュースは以下の記事を取り上げました!

ニュースを知ると、世の中の動きがわかります。
これからも、わかりやすく記事を紹介していきたいと思います!

こどもに関わる全ての大人へエールを!